【動物利用事業】猿回しイベントを調査しました【兵庫県】


2025年7月26日、兵庫県加東市にある複合商業施設『やしろショッピングセンターBio』内で、猿回し(出演:株式会社 二助企画)が行われました。

場所は店内中央に位置するイベントブース。11時から16時の間に計8回、実施されました。
わたしたちは、1回目と8回目の部を訪問しました。

夏休みの土日に加え、この日はセンター駐車場で夏祭りがあり、子どもの姿も多く見られました。

この日、舞台上に上がったのは、6歳のメスのニホンザル。
リードに繋がれた状態で、和服のような衣装を着ていました。

内容は、竹馬での歩行やジャンプ、2つの階段を跳び移る「八艘(はっそう)飛び」など。よそ見をしたり、芸をしない度に調教師が茶化すようなコントが、要所に差し込まれていました。

各部の最後に、観覧者からご祝儀を受け取る時間がありました。その際、近づいて写真を撮っても良いとのアナウンスもありました。(舞台上には上がれません)

小さな子どもや、抱っこされた状態の赤ちゃんも、
かごにお金を入れていました

これだけの芸を覚えるために、どんな訓練を積まされてきたのでしょう。何を感じながら舞台に立っているのでしょう。

知らない場所で、知らない人たちに囲まれ、リードで繋がれたまま不自然な芸をさせられる。
動物としての習性・生態も、個としての尊厳も失っているような姿に、胸が締め付けられました。

調教芸は観覧客に“動物は思い通りになる” といった
誤った感覚を根付かせる恐れもあります

サルの心身への負担と共に気になるのが、観覧客への影響です。

ニホンザルは、広葉樹林帯などで群れを構成して暮らす野生動物であり、日本の豊かな多様性の一員です。サルを含む多種多様な野生生物の相互作用によって、健全な生態系が保たれています。持続可能な社会の構築のためにも、市民ひとりひとりが自然や野生動物を正しく理解することはとても大切です。

今イベントは野生動物としてのニホンザルから逸脱した姿を見せるものであり、観覧客の認識への影響は計り知れません。

また、調教師による発言や芸の中で、

・指示通り動かない際に「めんどくさいサル」と発言する
・「パンツ見せます」と言いながら観覧者にサルのスカートの中を見せる
・「サービス」という掛け声でサルがスカートを捲り上げる


等の教育上不適切と思われる表現がみられました。観覧席からは笑い声が上がっていましたが、他者を貶す発言や性的表現で笑いを取ることは、子どもの情操に悪影響を与える恐れがあり、大変危険です。

スカート内を見せる内容は、私たちが観覧した2部共にありました。
恒例の出し物なのかもしれません

観覧客の子どもたちから「サルって飼えるんや」「飼いたい」との発言も聞かれました。“ニホンザルは気軽に飼育できる” “人に馴れている”等という考えが広まっては大変です。野生個体への不用意な接近にも繋がりかねません。
※ニホンザルは特定動物に指定されており、愛玩目的で飼育することはできません

8月10・11日に、同会場で再び猿回しが実施されます。私たちは、動物利用イベントの廃止を求める要望書を急ぎ作成し、施設の運営会社へと提出しました。

市民が楽しめるイベントは、動物を利用しなくても実施できるはずです。次回イベントは目前ですが、動物や次世代の子どもたち、持続可能な社会のために、配慮ある選択をしていただけることを、切に願います。